誘拐の果実 上・下 / 真保裕一 [>あ-な]
誘拐の目的が現物の受け渡しでなければ実は成功する確率は高いことがわかる作品。でも残念なことにたいていの誘拐の目的は現物なので成功することはとても少ないのだった。
家族のあり方、人間としてのあり方を見つめなおすこの話、この前に読んだ本でずと~~んと落ち込んだので少しは救いになってくれた。子供をできるだけ安全に、よい環境で育てたいと普通はどの親も思う。でもつらい環境で育ったほうが強くてやさしい人間になる確率は高いのだろうか。戦渦で育つ子供に引きこもりになっている暇なんてない。目の前で大事な人が死んでゆく体験をしながら、いじめでケガをさせたり殺しちゃったりする子はいないだろう。かく言う自分だって守られて守られて育ってきた。だからよくわからないし、本の中の話を現実に透過することはできないけれど、やっぱり最近そんな風に思うことが多い。 Jan.2010
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