The Runaway Quilt [Chiaverini, Jennifer]
米国の歴史の授業はCivil war一色といってもいいくらい(それしか微妙な問題なしに教えられないのかも)。Elm Creek ManorがあるPennsylvaniaは北へと逃れていく逃亡奴隷の通り道だったようで、Slyviaは祖先(と言っても2代程度)がそれを助けていたことを大変誇りに思っていた。
ところがSCからQuilt campに参加したある生徒から見せられた一枚のキルトをきっかけに長い間なおざりにしていた屋根裏の整理とともに大叔母から遺されたキルトを探すことに。そこに納められていたのは最初の移植者Hansの姉であるGerdaの手記であった。
Gerdaの視点のみから書かれていることを考慮しても英雄だと思っていた祖先は実は弱さをもつただの人間でSlyviaは今まで誇りのよりどころにしてきたものを揺さぶられてしまう。
そんなSlyviaを暖かくサポートする仲間たちがよい。他人にはよく見えていることもあるし、それを素直に聴けるようになった彼女にも拍手。
黒人問題というのは未だ解決されていない米国の大問題だが、女性問題も含め、優越種と思いたい人間の性、たまたまその位置にいることができた白人種、世界の諸悪の根源を担っているように思える利用者の都合のいいように解釈した一神教、などに思いが及ぶ。規模が大きすぎて誰もが満足できるような解決策があるとは思えないが、隣人と星単位で物が考えられるようになるといいのかな。 Mar.2010
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