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Emilie's Voice / Susanne Dunlap [>A-D]

Emilie's Voice 弱肉強食。耳の肥えた宮廷雀たちを涙させる声も、オンライン・ノベルズの王道、年の差カップル教師と天然生徒(この時代じゃ師弟か)の愛も、天然娘の純粋さに触発された小姓の宮廷生命を賭けた決断も、小悪党の小さな野望や策略も、強いものには勝てないのだ。
ルイ14世の宮廷に天使の声を持ってお局様Marquise de Maintenon(王とモンテスパン夫人との間にできた庶子の監督をしている)に踊らされた小悪党(St. Paul)に、師Marc-Antoine Charpentierのもとからさらわれてきたエミリー、長い長い準備期間を経て王の前で歌ったのはたったの1度。そして彼女の人生は狂う。愛人の専横を止めたいお局様と、自分の子供たちの面倒を見ることで地位を得ているくせに小うるさいお局を失脚させたい愛人、陰謀の巣窟ヴェルサイユからエミリーを連れ出したはいいけれど結局は彼女から歌も自由も奪ってしまった師。見つかった彼女に舌を切るか夫となった師と別れて修道女になるかなんていう極悪非道の選択を迫るのは慈悲深いキリスト教に首まで浸かったお局で、王も愛人も小娘一人同情的と言うか、大して気にかけていない。
こんな終わりにしてしまったために、無骨な職人の父親、小人物の母親、同じくささいな事から人生を狂わされても生き抜くSophieを生かすことができず、世の中の理の通りなら、小説なんて存在価値がないよと思ってしまう話になった。Jun. 2007

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