龍臥亭幻想 上下 [島田荘司]
最近はいつもいつも騙されたような思いばかり。御手洗と吉敷が共演するからと期待して読む。2人とも冗談のようにぽっちりそれぞれの関係者に通話一本。あとは妙に間延びしたようなしゃべり方に我慢し、閉塞社会の弊害についてお説拝聴し、心温まることもなく2冊の本が終わった。幻想と言うタイトルは確かに正しいのかもしれない。
作者は初期から一貫して、「日本人の」縦割り社会、上にへつらい下に当たる人間性を非難してきた。最初のころはお説ごもっともと思っていたけれど、今では責難は成事に非ずの感が強い。ただ不満をわめけばいい若者ではもうないのだから、どっぷり浸かってあがく吉敷タイプにせよ、我関せずを貫く御手洗にせよ、何か改善に向ける提案があってもいいと思う。
最近は毛色の違うものも書いているようだが気軽に手に入らない今、手を出すのも勇気がいる。もうあまり失望ばかりしたくない。 Sep.2008
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