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Angelology /Danielle Trussoni [>T-Z]

Angelology NY郊外の修道院に暮らすSister Evangeline、世界大戦頃の歴史美術史絵画関係研究者Verlaine。何の関係もなさそうな2人を出会わせたのは、Abigail Rockefellerの一通の手紙。
旧約聖書は事実であり、人の娘たちと契り数々の知識を伝えた監視役の天使たちはその罪ゆえに地中に永遠に繋がれた。生まれてきた子供たちはNephilim。天使の血を引いているくせに、いや引いているからこそ人間の感情を持たない彼らと、その支配を阻止しようとする人類の天使学者たち。
中世、ルネサンスを経て現代まで引き継がれている戦いはアメリカに場所を移す。

続編?嘘でしょ。というような終わり。ブルックリンブリッジに立つ姿はまさに絵として美しいが、そこにたどり着くまでの中盤のもたつきがもったいない。そして、これからどうなるんだ・・・Jul 2010


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A Peach of a Murder / Washburn, Livia J. [>T-Z]

A Peach of a Murder: A Fresh-Baked Mystery ビーチノベルというジャンルがある。バカンスに行った海辺なんかに転がってのんびり読むには最適という本たちだ。これはまさにその1冊。
舞台はTexas。夏には車のフロントグリルで目玉焼きが作れるという州の発展途上町に住む引退した教師、Phyllisが主人公。子供も独立し、夫は数年前に他界、家族で住んでいた大きな家を同じような引退教師たちに間貸しして暮らしている。ここParker郡は桃で有名で、毎年のフェアでは桃を使った料理のコンテストが開かれ、Phyllisが出品して数回、毎度同居人の元同僚で友人のCarolynに優勝をさらわれている。今年こそはと意気込む彼女は果樹園主が修理中の車の下敷きになって死んだところを発見。車のジャッキが故意にはずされた形跡があるらしい。そしてコンテストでは彼女のPeach cobblerを食べた直後に審査員長が変死。死因は桃の種から抽出されたシアノイド系毒であるという…。
可もなく不可もなく、テキサスという不思議な地域に思いをはせながらのんびり読める本。 Mar. 2010


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The Invention of Curried Sausage / Uwe Timm [>T-Z]

The Invention of Curried Sausage訳(原書: は独語)の関係なのか、それとも元がそうなのか、ものすごく簡潔な文章で淡々と話しがつづられていく。
第2次世界大戦も終わり間近、敗色深いドイツ、ハンブルグが舞台。浮気な夫も出征し、2人の子供たちも成人しそれぞれ戦地へ。配給工場で働くLena Brucker(uの上に点2つ)のところへ若い男が転がり込んでくる…。
老人ホームで、美しい模様編みのセーターを編む盲目の彼女が、何日もかけて明かすのが作者が追いかけているドイツ人気のファーストフード、Currywurstの起源。作者はこれを自称?元祖のLenaのスタンドで幼い時に食べていたのだ。カレー粉炒めのソーセージケチャップがけのようなものらしい。実際そのことはどうでもいいのかもしれないし。
同じ敗戦国でも男女の基礎が違うのか、ドイツの女性はたくましくしたたかだ。贅沢禁止令の下、ダンスパーティなんてもってのほかなんだけど、日本の銃後の妻とはずいぶん違う。夫も恋人もみんな戦地に行ってしまっても、おとなしくしているわけじゃないのだ。自分のこと大差ない若い脱走兵をかばいつつ、ちゃんと自分も潤ってしまうのがすごい。それは決して彼女だけじゃない。そして彼がいなくなっても悲しみはすれどやっぱりたくましい。自分の人生は自分で生きるって感じだ。これじゃ日本の幼い男たちは太刀打ちできなくて当然かも…。
気になったのは、敗戦宣告が出る直前、何かのきっかけでユダヤ人収容所の悲惨な写真を見ることになったLenaの反応だ。彼女はこんな残酷なことが実際に起こっているとは全く知らなかったようだ。これは民衆操作のための合成だろうとまで言っている。当時の一般ドイツ市民がどの程度の情報をつかめたのかわからないが、ナチスのやりようを見ていればユダヤ人がどんな扱いを受けているのか十分想像できるような気がするのだが。 Oct. 2009

 

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The Shadow of the Wind / Carlos Ruiz Zafon [>T-Z]

The Shadow Of The Windおススメ言葉にちょっとだまされちゃったかな。
戦争直後の1945年。古本屋の一人息子Danielが10歳になった時、父親に連れられて秘密の古本屋大元締め店に連れて行かれる。そこで手に取った本は「彼のもの」になるという。
Danielが手に取ったのは「The Shadow of the Wind」、夢中になって読み終わったあと、作者について尋ねると不思議なことがわかった。誰かが作者Julian Caraxの全作品を徹底的に焼き尽くそうとしているのだ。出版当時はたいした売れ行きもなかったのに、稀少本となったこの本を有名な古書屋が(京極ではないが)買おうとする。彼の姪である美しい盲目の女性ClaraがJulian Caraxの別の作品を知っていることを聞いたDanielは彼女の元に通い始める…。なんてここまではファンタジーを髣髴とさせてよかったのだが、DanielのClaraへの憧れが、ピアノ教師と彼女との情事の目撃で終わるあたりから急に生臭くなってただのサスペンスになっていく。この後もいろいろなキャラクターが出てくるのだが、なんだかぜんぜん生かしきれていない。用もないキャラに筆をたくさん割いたかと思えば書き込んで欲しい人はなでるだけ。アイデアとかプロットとか面白いのに、もったいないなぁ。 Apr. 2008


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The Mercy Sellers /Brenda Rickman Vantrease [>T-Z]

The Mercy Sellerさて続編です。
世代は変わり、今度の主人公は孫のAnna。恋愛小説の相手役としてはなんとカトリック僧のGabriel。どうも彼は結構ハンサムらしい。ブロンドで青い瞳のAnnaと、同じく金髪碧眼のGabriel。絵にしたらきれいなカップルですねぇ。
脇を固める人々もそれぞれ魅力的で今回は読んでて面白かった。少なくとも犬死やら業突く張りであまりの情けなさでげんなりしてしまうストーリー展開はなかったし。
甘かったり、離れて切なかったりする恋愛小説でありながら、当時のカソリックがどれだけ堕落していたか、またその反動で生まれた宗教改革もどれだけ政治に利用されていたか、宗教に傾倒しすぎることのあほらしさを何気なく描いていてよかった。一作目に比べると練れている。 Mar. 2008


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The Illuminator / Brenda Rickman Vantrease [>T-Z]

The Illuminator (St. Martin's Press)Tudorに入る前の英国。イタリアと違ってまだ中世が色濃く漂うこの時代、聖書はラテン語でもちろん手書き。そこに豪華な挿絵を入れる仕事がilluminator。イラストではないんですね。照らすもの。

主人公の一人、Finnは当時珍しい、教会には所属しないフリーランスのilluminator。年頃の美少女Rose(当時ではとても珍しい名前。たいていは聖女をもじった名前ばかりだから)をつれて仕事次第であちこちの教会を回っている。なぜか職人の癖に教養があり、上品ですらある。

もう一人の主人公、婿取りした後の未亡人Kathryn(スペルが古英語っぽくていいでしょう)双子なのにまったく違う息子たちAlfredとColinの16歳の成人を待ちつつ、領地の維持に四苦八苦している。(当時の双子は忌み嫌われていなかったのかな?)

話は、プロテスタントの台頭、英国国教会の大元の台頭=聖書を英訳するという密かな大事業を軸に、いろいろな出来事を織り交ぜて進んでいくのだけど、どうも途中で斜め読みしてしまうほどだらだらペースである。中でもひどいのが息子たち。本当に犬死である。小人のHalf-Tomとドモリのために馬鹿扱いされているけど、実は人のオーラが見えちゃうという超自然なMagdaが手をつないでハッピーエンドはよかったけれど、最後はおいおいこんな風に終わっちゃうの?という終わり方で、実は次の巻があるという。ちょっとずるい。 Mar. 2008

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The Bartimaeus Trilogy / Jonathan Stroud [>T-Z]

Ptolemy's Gate (Bartimaeus Trilogy) The Ptolemy's Gate -The Bartimaeus Trilogy Book.3
遥かエジプトの時代に魔物と魔術師との平等な共存を願ったPtolemy。その願いとは全く逆の未来となってしまった現代で、さらに魔法力がない普通人を加えて魔術師と魔物のつながりを作り上げたNathaniel(Mandrakeより戻りました!)、Bartimaeus、Kitty。けっこう厚い1部と2部、消化し切れていない社会設定や魔法使いと普通人、謎だらけの魔物の世界(Other World)…この長編の何もかも全てがこの3人がつながる最後の4、5章のために存在する。そしてこれはアメリカ産とはちがって英国人の書いた本だから、FF7と同じように何もかもがうまくは終わらない。
NathanielがKittyに恋をしなかったら…いやそれはだめだ。好きだからNathanielはAmulet of Smarkandを彼女に渡すんだし、重傷を負っても出直すことを選ばない。最後の最後まで彼女が出来るだけ遠くまで避難できることを願っている。Nathanielはフランダースの犬のようにかわいそう。彼が作ったのではない歪んだ魔術師の社会で彼本来のまま生きることが出来なかったし、彼が呼び出したのではない強すぎる魔物を、たった2人しか彼の存在を望まない世界のために命をかけて倒さなければならないのか。彼の性格上、やらなきゃKittyの所へは帰れない。でも、でも。うえーーーーん。彼の望みは全て終わらせてKittyの所にBartimaeusと(どっちがたくさん足を引っ張ったか悪態をつきながら)帰ることだったのに。うえーーん。もうめちゃめちゃ泣きましたよ。やり合ってばっかりいるBartimaeusとNathaniel、2人の手綱をしっかり握っているKittyとの掛け合い漫才をもっともっと見たかった。
Kittyは、こういうパターンによく見られがちなただ守られるだけの女の子、ではない。Ptolemyに続いてたった一人、Other Worldへ行って生還する(力を手に入れるために渡った魔術師はことごとく発狂、魔物を信じられた人のみが戻ってこられるらしい)。そしてその代償はほんの少し魔界で過ごしていた間に50歳ほどに年老いた自分の体だった。それでも2人をまとめ上げ、残った人々の救済に奔走(体ぼろぼろで走れないけど)する彼女。Resilence以外に魔法的能力は持たないけれど、きちんと地に足をつけて現実を見ているとても強い子である。戻ってこなかった2人に戦いの焼け跡でつぶやくKitty。"So much for your promises,"NathanielはKittyとの約束をとうとう一度も守らなかった。涙
Kittyにとって戻ってこなかったのは2人だけれど、Bartimaeusが最初にNathanielの中に見た通り、最期に彼はBartimaeusを解放する(もちろん悪態つきで)。Nathanielと共に死ぬことを覚悟したBartimaeusは、Ptolemyに続いて、また残されてしまった。
いつかKittyが、Bartimaeusを召喚しようと思い立つとか、大陸に渡ってあったJacobの息子(2人を結びたくはない)かなんかが召喚するとかして、NathanielがBartimaeusに託した"Say Hello to Kitty for me"を伝えられたらいい。きっときっと伝えられたらいい。邦訳はとっくに出ているようだけど、この訳が「よろしく」(普通の訳)でははく、「ただいま」と言ってくれ、だといいのに。(また涙) Dec. 2006

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