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Book of the Dead / Patricia Cornwell [Cornwell, Patricia]

Book of the Dead (Kay Scarpetta Mysteries)ケイが有名人であるために支払う代償が事件の発端であると言うのは流石になくなってうれしい。
突然イタリア、ローマから始まる話は、鉄面皮ベントンを求婚に緊張する普通の男にし(流石東部エスタブリッシュメント、婚約指輪は曾祖母のものですよ!)、なんだか新しいシリーズ展開かと期待させてくれる。いい感じの新展開だけれどいい事ばかりはなく、ルーシーは進行していないとはいえ脳腫瘍を抱え、ケイの仕事を支えてきたローズは肺がん末期だと言う。
以前の事件で体面を傷つけられ復讐の機会は逃さないDr. Selfが大活躍。マリノの心の負の部分をうまく操りもう彼を戻れないところまで追い詰めてしまう。
アメリカは自由の国、と謳っているけれど実はそうではないから大きな声で謳うしかないのかと思わせるところである。ここにはすごくはっきりと「違い」がある。
マリノはNJ育ちのイタリア系貧乏白人、警部どまり。ケイはFLの同系でも博士号をとり身を立て、そこには女性だから有利と言うところがある(社会的地位に男性のような生まれによる優劣が少ない)。2人は同じ壷から出ているのに、ケイは彼を拒み、東部エスタブリッシュメントWASPのベントンと一緒になる(ある面から見れば玉の輿である)…。でも何処からどう見てもケイとマリノは合ってない。生まれとか育ちとかでなく、合ってない。事件よりずっと面白い。 Jan. 2008

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PredatorPredator
タイトルからして恐ろしいけれど、これは連続快楽殺人犯の脳みその構造、心理などを研究しようという試みについた名称である。当然ベントンは主要スタッフの一人。やっぱり2人はうまくいっていたらしい。シリーズもこれだけ続いてしまうと、というか作者の傾向か、ケイは有名人である。被害者や犯人と彼女が無関係で、事件が起きて初めて関係ができるという設定はもう不可能らしい。だから、死体が語ってくれること、から犯人を捜していくという初期の作品の面白みがほとんど感じられなくなってしまった。今までは彼女が女性であるがゆえに男社会のような警察機構であちこち当たるという問題が主点だったけれど、今はその世界では有名人になってしまったがゆえに利用や中傷の対象にならざるを得ないという問題が主である。これもまた共感が難しいところだ。今作品で唯一うなずけたのは、犯人を作り出した児童虐待の罪だ。連続快楽殺人のほとんどが幼少時に虐待を受けているか、愛のない環境に育っている。だからって誰も彼もが殺人犯になって許されるということではないが、その加害者であった当時の犯人の周囲の人々の責任はやはり追及されるべきである。これは社会問題として提起されるべきことだ。 Jan.2006

Trace (Thorndike Press Large Print Basic Series) Trace
やっとル・ガルーから離れてまともな検死官らしい話になりました。それでもまだまだ初期の頃の緊張感はないのだが。脇役の背景などの突込みが中途半端で、煮え切らない感じ。前回不評だったのか、章立ては少しまともになって読みやすくなった。
ベントンとケイの関係がやはりギクシャクしてしまったのはよくわかるが、何でだろうと思っているうちにあれは結局うまくいったのか? ルーシーのプライベートも色々と状況説明をしつつも、何が彼女に踏ん切りをつけさせたのかわからないままきりがつく。読解力がない?
犯人はかわいそうである。一度沈んだものはというか、生まれた時から沈みっぱなしともいえるけど、浮かび上がることはない、という…。この辺、“生まれ”がものを言うヴァージニア育ちという感じがする。リタ・マエ・ブラウンと共通している? 現役引退できる年齢に近づいてきたケイ、これからどうするんだろう。まぁ、アメリカでは90過ぎても現役でいようと思えばいられるけれど、50くらいでもう引退する人もいるし、お金には困らないだろうし。 Apr.2005

Blow Fly (A Kay Scarpetta Novel) Blow Fly
ベストセラー作家になったら何をしてもいいのか、と問いたい。ヒルトンヘッドの涙をどうしてくれるんだ! ひどく短く細かい章建てにしてカモフラージュを試みたのか、でも手紙の出し主が1人ではないことはすぐにわかってしまう。だから、裏で糸を引いている誰かさんのことはすぐわかるし後半は確認でしかない。ルイジアナ州、バトン・ルージュの捜査官も少し影が薄いし、ルーシーは惚れっぽい。
このシリーズの邦題は秀逸と思っていたけれど、ここでとうとう収拾がつかなくなるだろう。ル・ガルーから始まるこの一連の事件はもう3冊目であるが、やはり、Point of Origin(通常は火事の発火点である)は事件の発端の意味もあったのだ。どうする、訳者の人? もう「業火」で出版されている今、知らんふりか?
何かを食べながら読むのはやめた方がいい本でもある。だって蛆が蝿が筋肉の標本が。タイトルからしてそうだもんね。クロバエ。 Dec. 2003

The Last Precinct (Random House Large Print) The Last Precinct
前々作Point of Originからずっとつながっている。これはこれで面白いが、キャラクターのプライベートが事件の原因になってしまうのは、シリーズものの宿命なのでしょうか。初期は事件そのものが主役で「死体が語ってくれること」を元に真実を追い求めていくことが醍醐味であったのに、起こる事件がケイに起因しているので彼女自身の内面の旅がメインになってしま っている。シリーズの流れといってしまえばそれまでだが、作品の形としては初期の方が好み。
今回、DNA鑑定がメイン。2、3年の間にずいぶん発達したようだ。ケイは相変わらず失脚を狙われていて、殺人容疑のため諮問裁判(というのかな)を起こされたり大変。前作の絡みでNYから登場した敏腕女性検事補が今後ケイたちの人生をどう変えていくか。警察機構を辞めてネット百万長者になって私立探偵事務所をはじめた姪のルーシー、今まで語られなかった息子が実はとんでもない弁護士でとうとう最終対決を余儀なくされそうなマリノ、前々作でかなり単純に殺されてしまったベントンだが、ケイが考えていたように死に急いだわけではない可能性が出てきた。ケイも絡んだ真犯人は鮮やかに逃亡してしまうので、次作は大嵐で楽しみ。 Apr. 2001 


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